
遺留分とは、一定の相続人のために法律上必ず留保されなけらばならない相続財産の一定割合のことをいいます。
簡単に言うと
「相続人が遺産から最低限相続できる権利」
のことです。
被相続人(亡くなった方)は、自己の財産を遺言によって自由に処分できるのが原則ですが、一方で被相続人死亡後の遺族の生活を保障する必要もあります。そこで、相続財産の一定部分を一定範囲の遺族のために留保させるのが遺留分の制度です。
遺留分は、被相続人による財産処分の自由・取引の安全と、相続人の生活の安定・財産の公平な分配という相対立する要求の妥協・調整を図る機能を有しています。
遺留分は最低限の相続分なのですが、すべての相続人が遺留分を有するわけではありません。
遺留分権利者となるのは、
となります。
注意して頂きたいのは、兄弟姉妹は遺留分権利者に含まれないということです。
遺留分算定の基礎となる財産は次のように算出されます。(民法1043条)
遺留分を算定する場合には、遺留分の計算の基礎となる財産に、一定の割合を乗じて、遺留分が計算されます。
まず、どのような者が相続人であるかによって、一定の割合が乗じられ全体としての遺留分(以下、総体的遺留分)が決まります。すなわち
が乗じられます。
次に、この総体的遺留分にさらに各自の法定相続分を乗じて、それぞれの遺留分(以下、個別的遺留分)が決まります。
上記のように計算された個別的遺留分と各遺留分権利者が実際に承継する財産を対比して遺留分侵害の有無が判断され、遺留分侵害額が計算されます。
遺留分権利者が被相続人から現実に得た利益(以下、純取り分額)が個別遺留分に達しない場合、その差額が遺留分侵害額となります。
これを計算式にすると以下のようになります。
(※純取り分額 = 遺贈、特別受益に当たる贈与によって得た財産 + 具体的相続分に応じて取得した財産 − 承継する債務額)